【Title】: 蒼天のセレナリア | 【ブランド】: ライアーソフト | ||||||||||||||||||||||||||
【ゲームタイプ】:ADV+冒険SLG | 【発売】: 2006/07/07 | ||||||||||||||||||||||||||
【属性】: | 【種別】: | ||||||||||||||||||||||||||
【スタッフ】 企画原案・シナリオ: 桜井光 原画・キャラクターデザイン: 護国卿 美術協力: 株式会社ミノリ/minori メカデザイン: しのづかあつと 音楽:Blueberry&Yogurt、MUTS MUSIC STUDIO 主題歌ボーカル:Rita 【体験版等】 メーカーサイト(ライアーソフト)から体験版、 ムービーがDL可能 |
【キャスト】
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【Gamer's Square月別人気・不人気投票データ】 | |||||||||||||||||||||||||||
【人気投票率】: 7票/1.8%(06年7月度) | 【地雷投票率】: 1票/1.3%(06年7月度) |
【レビュー】 | 【執筆】: ネコまんま さん | ||
【シナリオ】 | 【評価】: 80 点 | ||
<ストーリー紹介> 高度に発達した蒸気機械文明を誇る、とある国の話。空も海も、排煙と排水により黒くよどむ世界。そんな国の辺境都市ダイラスに、空の何でも屋として飛空挺を駆り、辺境都市を駆け巡る二人の少女がいた。 二人はふとしたきっかけから、帝国を敵にまわすことになる。帝国空軍との派手な衝突。単なる輸送船であるウルメンシュで、帝国空軍の機動要塞をなんとか退けるものの、執拗な追っ手にとうとう世界の果てと言われる「世界の水殻」にまで追い詰められる。 「世界に果てなんてない。水殻の向こうには、必ず知らない世界があるはず!」そんな強い思いを胸に、飛び込んだ水殻。超低気圧と海水からなる世界の壁を超えたとき……。そこには未知なる、蒼く美しい世界が待っていた。 <ここまで> エロゲとしては異例とも思えるほど、スチームパンクの世界をしっかりと作りこんである。そんな世界観が好きな方なら、間違いなく楽しめる作品であろう。ここに登場するメカについても、いかにも内部に丸ボイラなどを仕込んでいそうなデザインで、好感が持てる。(デザストールに関しては、若干洗練されすぎている感はあるが) スチームパンク世界にありながら、世界の果てと呼ばれる「世界の水殻」を抜けると、ファンタジーワールドとでもいうべき、蒼い美しい世界が広がる。排煙のよどむ空と、抜けるような蒼い空。なかば帝国に支配された世界と、鳥や虫の姿をしたヒトたちがともに穏やかに暮らす世界。このコントラストも、未知世界での冒険に興味をかきたてられる要素となる。 テンポは軽快そのもの。独特の雰囲気のよさと、冒険味あふれるストーリーに惹きつけられ、どんどんと読み進んでしまう。登場キャラたちにも、それぞれにしっかりと命が吹き込まれており、ストーリーをよりしっかりとした、楽しめるものにしているところなど、非常に好印象。 と、ここまで書くと絶賛しているよう思われるかもしれないが、実はいただけない点もある。 端的に言うと、設定のより深いところが、非常に分かりづらい事。主人公をはじめそれぞれのキャラは、過去に大きな「何か」を背負っている。耐え難い傷であったりするわけだが、シナリオ上でのその見せ方が非常にあいまいで漠然としている。それでもその「何か」をきちんと説明してくれれば、結果的にはすっきりするのかもしれないが、実際にはなんら説明もないまま、あいまいなまま終わる場合がほとんど。過去の経緯と、そこからくる今の行動の意味を、きっちり理解させてもらえるキャラはむしろ異例といってもよい。 そもそも主人公たちが、帝国を敵にまわすきっかけとなった、「ヤーロ」という少女(少年?)の行動原理にすら納得のいく説明がないのはさすがに疑問。(これに関しては、ストーリー上のご都合かもしれないが) ここでは差し引きで+10とする。個人的な好みも合っての加点である。釈然としない設定が嫌いな方は、マイナス補正して考えるべきか。 ストーリーは完全な一本道のノベルであるため、主人公に感情移入できない場合、評価は極端に下がるため、この辺は体験版で確認することをお勧めする。 |
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【システム】 | 【評価】: 55 点 | ||
システム設定としては、現在求められる、標準的な機能はほとんどそろっている。 スキップ機能は、次の未読または物語の区切りまで、一瞬で飛ぶ。マップパート攻略のための二週目には非常に便利。 ゲームシステムは、ADVパートとMAPパートとに分かれる。 ADVといっても、実際のジャンルはNVLと言ってもいい。いくつかの選択肢こそあるものの、ショートエピソードを誰の視点から見るかを選択するのみで、ゲームの進行とは関係ない。アドベンチャー風にしたいが故に、このような選択肢を設けたのであろうが、これは蛇足としか思えない。ごく自然な形で、全てをシナリオに盛り込んでほしかった。(-5) MAPパートは、町で情報を集めつつ、探索やお使いのイベントをこなすRPG風味の味付け。マップ移動に関わるランダム要素が「天候」のみというのが好印象。プレイヤーは燃料の許す限り、自由にマップ上を飛び回ることができる。(ただし、天候がコロコロ変わりすぎる所には興ざめする) 問題点として、お金の使い道が非常に限られていることが、MAPパートをつまらないものにしているのは残念。お使いイベントをこなしていれば、お金は充分に余る仕組みのため、マップ移動中に「探索」コマンドを使いアイテムを探して売るとか、各町の特需品を狙って商品を転がして金儲けする……といったことが、まったく不要となってしまっている。「探索」コマンドや「特需品」といった設定そのものを無駄にしており、もったいないと言うしかない。 さらに、お使いや探索といったクエストの数が非常に少ないことも残念なところ。せっかくのRPG風味を完全に無駄にして、作業化させている要因でもある(-10) |
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【グラフィック】 | 【評価】: 65 点 | ||
おまけのCG枠は全部で60。もともとエロ重視ではないだけに、数が少なくなるのも理解できるが、それでも若干少なめではある。CG枠の不満足分は、思い出(原画集)の12枠で水増ししてはいるものの、もう少しエロ以外の一枚絵を増やすことで、戦闘他さまざまなシーンをより充実できたのではないだろうか。(-5) 立ち絵の数とその差分に関してはそれなりによい。特にテキストウィンドウ左のキャラ表示は、大きくて見やすく、好感が持てる。 絵そのものについては、人それぞれの好みがあるでしょうが、個人的には良好。(±0) |
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【サウンド】 | 【評価】: 70 点 | ||
BGMに関しては、単品で聞く限りは特に優れているという感はしないが、作品のイメージとよく合っており良好といえる。もちろん作品のストーリー(ジャンル)的に、曲をつけやすかったのも事実でしょう。ただ、インストゥルメンタルまで含めて全18曲で、ボリューム的に足りていないのは残念なところ。実際感覚的にも、同じ曲を何度も繰り返し聴いている感がする。 ボーカル入りの主題歌も良好。Ritaさんの歌声は私的にも好みですが、息継ぎがちと目立ったところが気になります。個人的には、エンディングのSIRIUSが好み。(±0) |
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【実用関係】 | 【評価】: 50 点 | ||
主人公が女性ということもあってか、実用度という意味合いでは非常に低い。えちシーン自体、軽めのものから本格的なシーンまで、ストーリーの中にうまく組み入れられているものが多く、物語のエッセンスとして描かれている感が強い。 私としてはかえって好感が持てるのだが、実用関係という項目であるため、あえて減点。(-20) |
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【総評】 | 【評価】: 75 点 | ||
総評以前に色々と書いていますが、私個人としてはそれなりに高評価であります。この世界観と登場人物が、まさにストライクゾーンに決まった感じでしょうか。戦闘シーンでも、「燃え」というほど激しいものではないにせよ、ふつふつと湧き上がってくるものがありますし。 ただシナリオ欄にも書いたとおり、キャラクタ設定や舞台設定のより深い部分が、あいまいにぼかされたまま終わってしまうところは、プレイ後までモヤモヤ感が残って、あまり気分のいいものではありませんね。これがキャラの一人二人であれば、FDでも狙ってるのかなって感じにも見えますが、ことごとく中途半端で終わりますんで (笑 それでもこの冒険活劇に、子供だったころに確かに感じていた興奮を思い出したことは確かでして……。言ってみれば、「細かいことをごちゃごちゃ気にすんな。ようは面白ければそれでいいだろ」って感じで楽しめた作品でした。かなり大雑把になっちゃいますが、ライアーの作品でもありますから (笑 パートボイスであることの不満は、私にはありません。軽快に読み進むには、かえってこの方が良かったりもします。ただ、本当に声が欲しい場面とそうでない場面の切り分けに関しては、多少の疑問が残ったりもします。まあこの辺は、プレイヤーの好みにもよることでしょう。淡々と語られる主人公の語り口は、私的には良かったと思っていますよ。まあこれも、好みの問題であるんでしょうがね。 残念だったのはマタイオス他、男性キャラがノーボイスだったこと。ここに声を当てていれば、また一段と深みが増したことだろうに……。ホントに残念です。 マップハートについては、非常に微妙であると言わざるをえませんねぇ。システム欄にも書いたとおりですが、とにかくお金の使い道が少ない。ごくごく限られている。<バレ>ヤマネコと思い出</バレ>を買うくらいしか用はありませんから (笑 せめて町の食堂でご飯を食べる(情報を聞く)ときぐらい、お金を払うようにすればよかったのでしょう。豪華なご飯(有力な情報)ほど、値が張るとかね。システムそのものを殺してしまった感のする、お金問題でした。 クエストをもっともっと増やせば、マップパートの面白さはぐんと増すと思いますが、あまりマップパートが間延びすると、アドベンチャーパートが中だるみしそう。マップパートの途中にも、アドベンチャーパートに重大な影響を及ぼすイベントを入れるとか……。いろいろ。このあたりは、ライアーの大きな課題かもしれませんね。 レビューを書きながら色々冷静に考えて、得点は微加点の+5というところで。あいまいで終わらせてしまった部分を、もう少し掘り下げてシナリオにしていれば、感情移入の度合いも違ってくるし、ボリュームも増えますよ (^^ ライアー次回作には、さらに期待です。 ちなみに……。 けーこは今回、「けーこ草」というアイテムの名前だけでの登場。特に意味のあるアイテムではないため、即座に売却される運命に……(笑 追記 (やっとレビューを世に出せるよ (^^;; ) 8月31日から配信されているExシナリオですが、追加シナリオではなくて次回予告みたいなのでした (^^;; がっかりした気持ちとともに、淡い期待も。続編を出すのかしら? この作品を評価するとき、マイナスでしかなかった「語られることなきシナリオ」。このあたりを続編でクリアにしてくれるのなら、かなり期待できそう。う、……出たら買おうっと (^^; 【個人的お気に入りヒロイン】 ネーエルということで。こんなふうに、深く静かに愛されたい (^^;; 時々お茶目なところもお気に入り。 |